清水灯子の日記

都市か、あるいは郊外に住んでいる清水ちゃんの日記。

子供の頃の友達

12月1日

風邪をひいてしまって、参った。

今になって手洗いうがいをガラバシャと始めて、まるで効果なく、ウイルスが何を考えているのか知らないが、こういう小さな連中には勝てないな。昔よくテレビを観ていたときに、武井壮が外国のジャングル奥地で眠たいのに、ムチャクチャアリがやってきて噛みつくもんだから寝られず、かわいそうな感じだったのを見たことがあって、あれがすごい記憶になっていると思う。

うがいをすると小学生の友達を思い出すんだけど、ほんとにまじめな奴で、いつもその子と一緒に帰ってた。一緒に帰るということは家が近かったんだけど、大きな公園を挟むようにして、私の家と丁度反対で、隣り合った辺の端と端をなすような感じで、彼女の家は学校に少しだけ近かったから、私がいつも彼女を送ってから一人で家に帰っていた。

地図上の北と私が言う北は多分違くて、単に私がどっちを下としてとらえているかということなんだけど、公園を四角でみたら北西というか、上の左の方というか、そのあたりには三階建てのアスレチックとか滑り台、ブランコなんかがあって、公園としての機能で言えば一番優れた部分で、登録者だけが使えるテニスコートがあった。

本当は登録者だけの場所なのに、いつも鍵は開いていたから、かんぬきをはずして網々のケージ門を引っ張れば中に入ることができて、その子はいつも帰り、そこで手洗いとうがいをしてた。

うがいをするとというか実は昨日の夜にうがいをしているときにそのことを思い出したんだけど、「私、ここでうがいしていこ」とか「どうせ家に帰ったらするから、手洗ってきちゃうね」とかなんとか必ず一言叫んで、なんというかそのとき私たち二人の間には片時も離れていたくないというような絆があって、彼女はその時間を延長するためにわざわざまだ外にいる内から手洗いとうがいをしていたんだと思う。

帰ってから結局また遊ぶのに、それだけ下校の時間を大切に共有していて、言うなれば愛があったと思うし、大学のとき付き合っていた恋人を前に、私もかわいいぬいぐるみを指差して「あっかわいいぬいぐるみがある」的なことを言って足止めをしていたような気がする。

私は友達と疎遠になるのがうまいから、というかいつもそうなってしまうのだが、小学生の頃あれだけ仲の良かった彼女とクラスが変わって、また中学生になって、変にギクシャクしてうまいこと付き合うことができなかったから、彼女は私のことを覚えてさえいないかもしれない。でも私の方では昔友達だった人々をみんな好きだから、思い出して、ああしてこうすればとか良かったとか、当時の会話を思い出してやっぱりあのときはこう言えばだの考えていて、不公平というか、そんなことは忘れっちめえという気分になるわ。

喉痛いわホンマ。でもたまには思い出してや。