清水灯子の日記

都市か、あるいは郊外に住んでいる清水ちゃんの日記。

故郷の音楽

4月2日

 

私の生まれた場所では音楽が鳴っていなかったから、モンスターハンターユクモ村で音楽が流れていて本当に嬉しかったし、聴くと今でも肉体を離れるようで故郷を思い出す。

奥の方、ということは私の家のすぐそばにそんちょさんがいて、彼女が見ている方角すなわち前ということなんだけど、小川いうか池ゆうか、とかいって実は足湯があって、誰かしらそこに座って足をふやかしてる。たまに性別も分からないような連中がいることがあって、というかそこら中にいるし私も連れていたのが、この世界の中では猫のことをアイルーと呼ぶのね、多分、nekoという発音がまずいのか、あるいは彼らのように高度に発達した脳みその生物をそう呼ぶのはひどい蔑視に当たるのかもしれない、ともかく猫に似た姿の二足歩行をする人語を解した猫に似た姿の奴が。でもそれってどうなのか。足とか顔とか、もうほんとの毛むくじゃらで、湯に浸かっている間はいいけどさ、あがって後、気持ち悪くはないのか。足をピッピッとかやって、すごいかわいいと思うんだけど、でもさあピッピの段階ではなくて、もうずぶ濡れだから、多分手拭いでふき取るのだと思う。だからそれは少し残念。

村長の横の階段を上がると、ギルドいうか風呂につながっていて、でかい風呂よ、昔々にコードを交換した友達が浸かっていて、女だったり男だったり、ほんま風呂ばっかというかお湯ばっかやなこいつら、話しかけると頷いて、今でも毎度要らないアイテムを分けてくれる。

村ではお風呂がタダだから、ドリンクが飛ぶように売れて、SAVASどころじゃないようなのを風呂上がりに一杯飲み、砂漠でクーラードリンクを飲み、液体を飲むことがすごく気軽というか気楽な世の中で、まるで抵抗がなく、回復薬を飲んで、なんで、こんな、タポタポにならないのかよと思うのだけど、そうはならないみたい。液体が信じられないほど潤沢で、消費することに大して何の心配もいらないような場所に住む人たちはのほほんとした雰囲気で、おおらかさを持つのか。雪山に閉ざされたポッケ村の人らが朝から必死こいて屋根の雪を下ろしている間、この人たちはぼけーと突っ立ってたり、朝からジャブジャブな湯に浸かり大して冷えてもいない体表面と熱交換をしている。

お風呂というのはやっぱりいいもんで、通常私が洗面所で顔を洗ったりシャワーでシャボンを落とすときなんか、二人か三人の私がにゅっと現れて昼間の失敗や言動についてあーだこーだネチネチと反省が始まって主たる私は「あー」だの「ぐあー」だの「ぬあー」と叫ぶところ、湯船に浸かるとみんな「ふー」とか「やれやれ」と頭に手拭い乗っけて、どうでもええかという気持ちでいやほんと、地球が止まるわけでも無し。

ともかくそんな人らの中にあるからというのか、村の専属ハンター(として招かれたということなのだが)たる私の地位たるやすごいもんで、お家はプレゼントしてくれるわ、そのお家で何時に寝て起きようが、プラプラしてご飯食べてようが誰も文句を言うことがない。いくらでも時間に猶予があって、それはゲームのシステム的なことではあるけれど、村の外のどえらい生物のせいで山菜が採れないという訴えを措いてドリンク商品の拡充という私利のために山菜を私が採りに行っても、みんなじっと辛抱して私が怪物を倒すのを待っている。というか、村では夜というものをほとんど見たことがなくて、何度話しかけようがクエストを進めない限りおんなじことを繰り返し話すのだから、実際に時間が経っていないのでしょうよ。私を含むこの人たちハンターの仕事場は渓流や砂漠や、村の外であって、そこで初めて時間が経つし、事が運ぶし、村の中で武器を持ったゴリラみたいな私がうろうろしていても、それはほんの短い時間のことで、経過したとも思わない束の間、狩りから帰ってきた休息なのだ。私はお家を好きだから、ぐんぐん強くなり、その内手から火だのひやっこい水を出したりなんか、生まれた場所から遠く離れてとんでもなく悪い連中を懲らしめるのもいいけれど、住む場所と私を含むその周辺の人たちを生活を守るために出かけて、ぶっ飛んだりぶっ飛ばしてまた村に戻って温泉に浸かり、ジャギジャギしたグラフィックのこの場所に、ものすごくムラムラしてしまう。

 

生活が好きなんだな私。暮らすのが好きなの。あーほんま、持っててよかったPSP

 

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