清水灯子の日記

都市か、あるいは郊外に住んでいる清水ちゃんの日記。

創作

エーテルを砕く

お父さんは蝶々を追いかけて出て行ってしまった。なんかどうも、ぽげぽげしたアホだったのだ、多分。お母さんに言わせると、二百万年前の劣等遺伝子のせいだということで、はたして私たちがその時に人の姿をしていたのかどうかは分からない。いつも誰かがい…

清水ちゃんのSS

『君の体温』 駅まで歩くのが好きだった、大学から隣町まで。午後イチの講義を終えてしまえば、僕はもう大学生でも何でもない、ただの暇人だった。昼に大盛りの素うどんを食べたせいか、講義を受けている間も学生ではなかったかもしれない、むにゃむにゃとし…

音だけは分かる

誰かが何かを言ったということに強い興味を覚えていた。話すことができなかったからだ。アホな携帯の予測変換みたいに、ほいじょんと関わりのない言葉が出てしまう。そうしたことは勿論建前で、言ってみたら演技のようなものでさえあるけれども、音だけが同…